Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”お前は宙吊り”

はりきりたいね

やりきれないね

なんて捨ててって

消えてったって

 

結局「いくら?」って

相場踏んで

死んでくだけで

 

悲しいよね

もういいよね?

 

言ったそばから蒸発

泣いてすぐさま出発

 

悲しいだけで

もう

泣いてるだけで

力にもなれない

 

痩せた若者は

毒を吐きながら

また死んでいく

また

 

幸せにもなれない

不幸せにもなれない

お前は宙吊り

 

 

 

"射程距離内"

怖いな怖いな

期待しちゃって

暗いな

暗いな

裏切られちゃって

重いな重いな

引きずっちゃって

喰らいな喰らいな

蒼も真も無も

虚も哀も死も

 

はみ出すならば真夜中暴れろ

割り切るならば数字が良いよ

全部無視して 全部無視して

近づくだけ近づいたら

射程距離内

もう呼吸もできない

 

 

  

”願い事”

やっぱ情緒不安定になるな

あのたおやかな春が

つなぎ留めていた微かな

匂いも手触りも確かな

名前も知らぬ膨らんだ赤い花

 

身体を司る命令系統が入れ替わって

残照

砂の地を這う定めが

水の中息ができない哀れな

暗礁

 

でも、もう優柔不断はやめたから

君と巡って果てるその次の朝は

もう逃げないから もう嘘はつかないから

「大丈夫」って言って お願い「大丈夫」って言って

 

 

 

”スワン・ソング”

譲り合って

沈黙

「いずれ⋯」だって

辛辣

 

君の肌まであと少し

意地で生きたっていとおかし

つまらぬ想いが堆積して

見知らぬ者同士が相席して

 

どこまで行ったって冥府

そこまで言ってもセーフ?

露骨に死んだ顔して警告

粗忽な振る舞い故に遺曲

 

これはスワン・ソング

あとは知らん。どうぞ

 

 

 

"その蒼をくりぬいて"

偶然も必然もあったもんじゃない

帰路の髑髏

自然 森羅万象 囲まれて 知覚できるだけ知覚してみたら

溢れてしまった

 

ネイヴィな夕焼けのロングコートを着た人骨模型

左胸あたりに夕日だけがくりぬいてある

金色のいびつな円

眩しくて

 

夕焼け

その色気

魔法なんてつまらないな

呪いなんてつまらないな

 

私も左胸をくりぬいて、夕日の光を穴越しに通した

また別の影ができる

この連鎖が思いのほか身軽にさせてくれない

 

やがて蒼い夜が来て

揺らぎがちな想いは

その蒼に染み込んで消えた