”夜が開けることを知らない子供たち”
化学煙はファルセット
空高く昇り 裏返り 消えていく
血圧は下がる
心臓をノックする
生きようと
生きようとして
ぶつ切りの言葉
祈りはもはや遠い
叶わずに散った花たちや
朝を知らず
夜が開けることを知らない子供たち
いつか終わりは来る
締めの言葉を用意する間も無く
世界
その奥の奥の
核心に触れたい時にだけ
私は防御を解く
夜が開けることを知らない子供たち
この魂は君達に捧げる
”頭の中、空白で圧迫”
枯れた葉を踏む
消えた摩擦に問う
信じた儀礼を蔑む
ないがしろにした約束を思い出す
連れ添った無限は錯覚
頭の中、空白で圧迫
やがてそれに満たされ
いずれ歳をとり
朽ち果てるのだろう
細長い彫像はあなた
枯れた木の枝でほほを弾く
今日の帰りもまた枯れ葉を踏む
頭の中は空白で圧迫されていく
”無限のエンドロール”
寄り添えど
足並みは合わず
わざとかなって勘ぐりもしたし
色々捨ててきた
予防線張っても
死ぬだけだった
そこかしらにヒントは張り巡らされ
人生の伏線を回収
君のストーリーに私は登場しないんだね
ねえ、待ってよ
牙はもう無いし
この身体は洗浄装置で清めたよ
そのはずなのに
霧が深くて
君の顔が見えない
足跡すら追えない
暗く白い森の中
橙色に堆積した腐葉土に膝をつき
今まさに死にゆくところさ
あー、バイバイ。
(そして流れる無限のエンドロール)
”心意気を讃えよう”
空振りの中の
心意気を讃えよう
宙を切って死んだ
蠅のように死んだ
大酒呑みの山の民はぐうぐうといびきをたてている
その夢の中で
結婚式があった
人間と北極狐の結婚式
やあ、めでたい
やれ、めでたい
と
寝言は私の家にまで届いてきた