Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”疼き”

小さな画面に本音を刻みこんだのは良いものの、

一晩寝かせたらゴミ屑

哀れその思いは

delete.

一瞬で消え

 

拍手喝采

満員御礼

そんな人生のエンディングを夢見た頃もあった

祝福しろ

肯定せよ

愛してくれ

愛してくれ

愛してくれ

 

打っている実感の無い文字

撃たれた覚えの無い銃創

そこかしこにあって

時々疼くのです

 

 

"分断の銅像"

優雅に進む

無理なく進む

そのはずだった

どこかで狂ってしまった

 

分断された空間

箱庭

怒るだけで精一杯の人達

 

かわいそう

憐れみの染み込んだ土壌

 

知らんぷりした銅像

世の喧騒なんてどうでも良いよ、と

風雨にさらされている

 

傘をなくした私は

ずぶ濡れで帰った

よくわからない怒り

よくわからないから機嫌が悪いのか

 

濡れてしまえば

どうでもよくなった

 

あの公園の銅像

私と同じ

 

 

 

”夜が開けることを知らない子供たち”

化学煙はファルセット

空高く昇り 裏返り 消えていく

血圧は下がる

心臓をノックする

生きようと

生きようとして

 

ぶつ切りの言葉

祈りはもはや遠い

叶わずに散った花たちや

朝を知らず

夜が開けることを知らない子供たち

 

いつか終わりは来る

締めの言葉を用意する間も無く

 

世界

その奥の奥の

核心に触れたい時にだけ

私は防御を解く

 

夜が開けることを知らない子供たち

この魂は君達に捧げる

 

 

 

”ウインクを一つ”

躊躇いの因果か

野生の系譜か

背筋を昇ってくるスリル

 

遠い遠い先祖の声がする

それに従っているだけ

 

罪を犯し

裁かれたこの魂は

果たして清らかになったか?

 

太陽の黒点

忘れたつもりでも

いつもどこかに黒い点

−こびりついた血は消えず

 

断頭台で

洒落た言葉の一つでも吐いてみたいもんだ

転がる私の首は

最後に

ウインクを一つ

 

 

 

”うめき声の破片”

湿っぽさを振り切り

無縁

もどかしいが耐え忍び

孤独

 

強く生きていたいだけなんだ

−夕日が水平線に溶ける

風景に負けるつもりはない

心象、描いた習作の山

蝋燭で照らす

 

波打ち際

辺り一面に

うめき声の破片

拾っても拾っても

数が減る気配は無い

 

回収屋の出番

あとは連中の仕事

 

瓶のサイダーを買って私は帰路についた