Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”もう安売りはしない”

くだらない言葉を吐いて消化しようものならそれは愚かで 想ってもいない言葉をさらっと言ってしまえるのも 「素敵」だとか「綺麗」だとか「かわいいね」とだかも全部安売りだもの 私の人生はそんなに安くない そう思えるのはきっと大切で その大切さの意味も…

”雨の中の白猫”

雨に濡れた猫が目の前を通り過ぎた 薄汚れた白猫 重そうな身体 雨に濡れた猫はどこへ行く? 宿はない 家はない 寄りかかる軒下もない この街にはもうない 私はひどく切なくなった 似たようなもんだ 私だって あなただって 猫と一緒に 家を探そうか ホーム・…

”雲はサイン”

なにが出るか試してみよう おっとびっくり燦然世界 飲めないお酒に無理矢理頼り 理屈も形式も無い、ジャンプ・アップ 君の話にはほとほと疲れた 越えていけるかな 崖っぷち 我慢が大事さ 忍耐強く ああ、なんて儚げなんだ つらつら、空に文字を描いてく 雲は…

”教えて”

いろんな思いがあって それが形になって 素敵だなって思う 夏の影 命の形 瞳に映った景色を教えて

”静かの海で”

その額に 気まぐれに 黒衣の堕天使のキス 夕暮れ 手遅れ 罪を背負い 穢れてしまった道徳心 また会いましょう また会いましょう 静かの海で 何が聴こえる? 互いの姿は見えずとも 身体が朽ち果て 無くなっても

”地獄を一緒に過ごすのも悪くない”

いじらしく 抵抗のしようのない響き その名前 呪いであり魔法でもある 地獄を一緒に過ごすのも悪くない あなたとなら、ね 憂鬱を手懐け 絶望と固く友情を結び 閻魔大王でさえ畏怖の念を抱くという その涼しげな目元に 伏せた睫毛に あらゆる美が集まり ため…

”ディレイ”

言の葉はひらひらと舞い 刻まれたハーシュノイズ 置換された影 蒸留された想い 帰ってこないやまびこ ディレイしてディレイしてディレイして

”疼き”

小さな画面に本音を刻みこんだのは良いものの、 一晩寝かせたらゴミ屑 哀れその思いは delete. 一瞬で消え 拍手喝采 満員御礼 そんな人生のエンディングを夢見た頃もあった 祝福しろ 肯定せよ 愛してくれ 愛してくれ 愛してくれ 打っている実感の無い文字 撃…

”君にならば殺されたい”

人の情けに嫌気がさして 差分 切り捨てて 夜中 虚空に吠える 唐突に忌々しい罪への懺悔 君にならば殺されたい その気で呼吸している そのつもりで生きている 君にならば殺されたい 明日が来なくってもいい

"分断の銅像"

優雅に進む 無理なく進む そのはずだった どこかで狂ってしまった 分断された空間 箱庭 怒るだけで精一杯の人達 かわいそう 憐れみの染み込んだ土壌 知らんぷりした銅像 世の喧騒なんてどうでも良いよ、と 風雨にさらされている 傘をなくした私は ずぶ濡れで…

”夜が開けることを知らない子供たち”

化学煙はファルセット 空高く昇り 裏返り 消えていく 血圧は下がる 心臓をノックする 生きようと 生きようとして ぶつ切りの言葉 祈りはもはや遠い 叶わずに散った花たちや 朝を知らず 夜が開けることを知らない子供たち いつか終わりは来る 締めの言葉を用…

”ウインクを一つ”

躊躇いの因果か 野生の系譜か 背筋を昇ってくるスリル 遠い遠い先祖の声がする それに従っているだけ 罪を犯し 裁かれたこの魂は 果たして清らかになったか? 太陽の黒点 忘れたつもりでも いつもどこかに黒い点 −こびりついた血は消えず 断頭台で 洒落た言…

”うめき声の破片”

湿っぽさを振り切り 無縁 もどかしいが耐え忍び 孤独 強く生きていたいだけなんだ −夕日が水平線に溶ける 風景に負けるつもりはない 心象、描いた習作の山 蝋燭で照らす 波打ち際 辺り一面に うめき声の破片 拾っても拾っても 数が減る気配は無い 回収屋の出…

”霧の運河にて”

本当に恋しい時に会いたい人が運命の人だから 君じゃないね 寂しい時じゃなく 穴を埋めるのではなく 永遠という嘘で遊んでるのさ 揺らぐ気持ちの中で 不安のボートに乗り 船頭は私に優しく語りかけた 運河は霧深く 私は船頭が何を言っていたかもう思い出せな…

”頭の中、空白で圧迫”

枯れた葉を踏む 消えた摩擦に問う 信じた儀礼を蔑む ないがしろにした約束を思い出す 連れ添った無限は錯覚 頭の中、空白で圧迫 やがてそれに満たされ いずれ歳をとり 朽ち果てるのだろう 細長い彫像はあなた 枯れた木の枝でほほを弾く 今日の帰りもまた枯れ…

”無限のエンドロール”

寄り添えど 足並みは合わず わざとかなって勘ぐりもしたし 色々捨ててきた 予防線張っても 死ぬだけだった そこかしらにヒントは張り巡らされ 人生の伏線を回収 君のストーリーに私は登場しないんだね ねえ、待ってよ 牙はもう無いし この身体は洗浄装置で清…

”心意気を讃えよう”

空振りの中の 心意気を讃えよう 宙を切って死んだ 蠅のように死んだ 大酒呑みの山の民はぐうぐうといびきをたてている その夢の中で 結婚式があった 人間と北極狐の結婚式 やあ、めでたい やれ、めでたい と 寝言は私の家にまで届いてきた

”滞留する蒼”

届きません 声も、言葉も、視線も、手も ほんのささやかなものを待っています なので夜は少し泣いたり お酒を飲んで電話をかけて、からかうかもしれません ごめんね 感じていたより距離は近く でも見た目より心は遠い さめざめと言葉を投げては 心が折れ ま…

”夜になぐさめられてしまう前に”

ちょうだい もっとちょうだい 返事が見つからない 涙は溢れるのに 何も言葉にならない 夜は不思議 私は包まれ、なぐさめられてしまう 足りなさを引きずって浪費 病みは癒えぬまま行為 秘密は秘密のまま 誰にも言えないことばかりが この身体の輪郭の内側を埋…

”断層”

もうズレて 力抜けてくだけで 断層 誘惑に近いだけの血と肉 揺れる灯籠 魂を映したゆらぎ 白い衣も黒い衣も 皆血で染まる どうせ皆夜明けには消える 新しい朝は 君の名前を思い出せないだろう その笑顔も やがて消えていくだろう

”くっついてはなれる”

燃え殻の人たち 行く末は皆同じ 抵抗してみても 反発してみても同じこと 変わりやしないんだから ガラス製のマネキン 虚空を見つめ 店の天井隅に設置されたスピーカーが当たり障りのないBGMを流しているよ 誰かの人生の応援歌 誰かの魂の鎮静剤 でも、私のじ…

”雪は深く”

悲しい知らせに君は問う 深くベレー帽かぶりなおし 息は白く 言葉を選び 撃つ銃は神様の一撃 胸に開いた風穴が僕の勲章さ これ以上説明はいらないよね 語れば語るほど雪は深く 紡げば紡ぐほど血が流れる

”救え”

叶わなかった 散れ散れの夜たち その願いや祈り 掬いとって 卵 墮落の悲劇 愛らしき十七歳 どれもこれも散れ散れになった夜たち それもこれも卑屈になった轍 神の怒り 背いて 君は光り、笑う 端的に言えば「答え」だ ただ一つに纏まらない想いなんだ 君の穏…

”お前は宙吊り”

はりきりたいね やりきれないね なんて捨ててって 消えてったって 結局「いくら?」って 相場踏んで 死んでくだけで 悲しいよね もういいよね? 言ったそばから蒸発 泣いてすぐさま出発 悲しいだけで もう 泣いてるだけで 力にもなれない 痩せた若者は 毒を…

”苦し紛れに”

苦し紛れに 戦った痕跡は罠 大きな音がする どこか工事かしら 体の奥まで響く音がする 夕闇に紛れてスイサイド気分 己の凍結 閉鎖していく心 暗い海は何も語らない 死に際に 戦った痕跡を讃えよ

”光れるなら”

消えない 見えない 連なりをもったつらさ 黒い鎖 連鎖する光 君と私の間で霞んでいった言葉たちがある もう一度思い出して もう一度言い直して 何か戻れるなら 空で光れるなら また行きたい海があって きっと変わらない波音があって

"射程距離内"

怖いな怖いな 期待しちゃって 暗いな 暗いな 裏切られちゃって 重いな重いな 引きずっちゃって 喰らいな喰らいな 蒼も真も無も 虚も哀も死も はみ出すならば真夜中暴れろ 割り切るならば数字が良いよ 全部無視して 全部無視して 近づくだけ近づいたら 射程距…

”願い事”

やっぱ情緒不安定になるな あのたおやかな春が つなぎ留めていた微かな 匂いも手触りも確かな 名前も知らぬ膨らんだ赤い花 身体を司る命令系統が入れ替わって 残照 砂の地を這う定めが 水の中息ができない哀れな 暗礁 でも、もう優柔不断はやめたから 君と巡…

”スワン・ソング”

譲り合って 沈黙 「いずれ⋯」だって 辛辣 君の肌まであと少し 意地で生きたっていとおかし つまらぬ想いが堆積して 見知らぬ者同士が相席して どこまで行ったって冥府 そこまで言ってもセーフ? 露骨に死んだ顔して警告 粗忽な振る舞い故に遺曲 これはスワン…

"その蒼をくりぬいて"

偶然も必然もあったもんじゃない 帰路の髑髏 自然 森羅万象 囲まれて 知覚できるだけ知覚してみたら 溢れてしまった ネイヴィな夕焼けのロングコートを着た人骨模型 左胸あたりに夕日だけがくりぬいてある 金色のいびつな円 眩しくて 夕焼け その色気 魔法な…