”夜は海の底”
口からぽかりと泡が出て
上空へ登ってゆく
隣を歩く友人が話す度に
その口からも
行き当たりばったりで設置された照明が、酒と歓声と散り散りの方向に歩く人々とを混ぜあわせる
深夜の街は
深い海の底
僕の躰の周りには
いつもよりも高い圧がかかっていて
僕の躰は少し飲んだアルコールのせいか
そのことに敏感になる
思考して
笑う
バカな思いつきが
ほわほわと出てくる
そうやって歩きながら
自分の理屈の全てを受け入れ
この世の法則の全てを受け入れ
この海底を歩くのがなんだか苦しいような気持ちいいような
不思議な感触
朝になるとこの圧は消え
解き放たれた僕の躰はきっと破裂して拡散するだろう
今だけ
かろうじて
この夜の底で
形を留めているのだ