2016-06-02 ”異国にて” 詩 「嘘つきの目玉から取った氷をお飲み。道に迷わないように」 占い師に教えてもらった地図とは少し違う 遺伝子の辿る運命とは少し違う 「信じないで。 死んでゆく善人達の言うことも」 「ここは 君の夢見た蜂の巣型の集合住宅とは少し違う。 前世紀の落書きだらけの氷河とも少し違う」 小さな甲虫が二の腕を這っているのがわかる 天球の 星の数を数えた 知らない国 荒野のまん中 死んでゆく私 朽ちてゆく私 あまりの星の多さに 嘔吐した これは 悲しさや 寂しさとは 少し 違う この天球が私の棺