Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

“信天翁”  

重くなった体を引きずって

砂漠を行く

あの地平線はまやかしだ

あの蜃気楼はまぼろしだ

灼熱の箱庭

私をコントロールしているのは誰?

死ぬまでにそいつの顔を一度は拝むことができるだろうか

 

やることは決まっている

できることは決まっている

 

鍾乳石がしずくを垂らすようなリズムで

私は息をする

どこか遠くで

ひとつの街が陽炎のように揺らぎながら消え始めている

小さなサイズの生き物も

大きなサイズの生き物も

泡を吐きながら消えていく

 

そんな気配を感じながら

天を仰ぐ

青空に黒点が一つ

一羽の信天翁

吸い込まれていく

吸い込まれていく

青い空が黒点に向かって

吸い込まれていく