2016-07-27 “強情な足跡” 詩 半透明の身体を引きずって いまだ自分の名前を思い出せないまま 蒼い天蓋の下 黒い海の浜辺を歩く 欠けた貝殻はいにしえの若者の青春 座礁したボートから聞こえる調子外れの舟歌が 愛情も憎しみも 何も区別がつかなかったあの頃へと戻らせようとする 足跡を残さずに歩こうとしたけれど 無理だった 何かが私に干渉している 私が何かに干渉している ざらざらしたものが踵にまとわりつく どうせなら 透明なまま死にたい 今日の足跡は強情で 消そうとしてもなかなか消えなかった 私の過去をふてぶてしく主張しながら 波打ち際に堂々と残っている