2016-10-18 ”睡蓮” 詩 Ⅰ 言いがかりの睡蓮と 待ちくたびれた君に告ぐ 考察することの不自由 無心でいることの不自由 生まれ持った麦穂の暖かさと 冷えきった影法師 眠りにつく直前の浪費 決まり決まった散文詩 黒い布に覆われた天蓋を 意味深げに眺める君 そこに何があるのか 何も見えない私に教えてほしい Ⅱ 価値もなく 価値を知らず 昆虫の世界に非常によく似たこの人間界を 君は貴重な魂の輝きでもって 優雅に泳ぐ 目をつぶり 四肢を組み立て前のようにばらばらに分解されたら また眠る それはクレバスに落っこちるような 短い死 次に目が覚めた時は違う自分 誰も外からは気付かない 詐欺師の人生 また違う魂