Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”ある画家の証”

記録されていた

生きた証は

白いスケッチブックに鉛筆で

定着された黒鉛の線

その線の佇まいが放つ生命力の

ああ、なんともか細くも力強い放出

 

眩しいほどでもなく

暗くて見えないほどでもなく

しかし確実に「俺はここに居たんだぞ」と

何冊にも及ぶスケッチブックの1ページ1ページがそう言っている

 

主張と言えるほど傲慢でもなく

沈黙というほどかしこまったものでもなく

これが画家の存在そのもの、証

 

ページをめくるたびに息はつまり

呼吸するのを忘れ

瞬間瞬間、自分の定義を忘れ

生きていることを忘れ

 

もうこれ以上ページが更新されることはない

新しい絵が描かれることはない

そんな悲しみがそっと

寂しさがじわっと

一番最後の絵の次の、何も描かれていない白いページに現れて

やがて定着した