Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”脱皮”

朝焼けが海沿いの道のアスファルトに作ったこのやせ細った影

頼りなく、危うく

 

冴えない色をした車たちが長い間隔をあけて車道を西へ東へ

どこまでも続いているように見え

 

いつだって引きずってるよ

昨日の続きを

去年の続きを

あの日の続きを

あの瞬間の続きを

いつだって心残りで

 

暑くって、うるさくって、耐えられなかったあの夏の通底音

日陰の野良猫よ

君もそうなの?

何を待っているの?

隠れているだけじゃあないんでしょう?

 

そして夜が来て朝が来て

 

病んでやせ細ってしまった己に問いかけてみる

君もそうなの?

何を待っているの?

隠れているだけじゃあないんでしょう?

 

朝焼けが海沿いの道のアスファルトに作ったこのやせ細った影

誰も何も答えてくれない

 

冴えない色をした車たちが長い間隔をあけて車道を西へ東へ

どこまでも続いているように見え

 

思考を止め

感情の茫洋さから離脱

優しく足を止め

静かに深呼吸をした

 

そうだ

隠れているだけじゃあない

と、一歩足を前へ

私の体重を受け止めた砂浜がゆっくりと沈み込んだ