2017-02-05 ”Y字路に立って” 詩 右手には煙草のにおいが染みついて 脳にはさっき吸った煙が充満している 男は立ち止まる ぼんやり考える 蒙昧とした視界 Y字路の向こう 駱駝色のコートに包まれた躰にゆっくり静電気が溜まる 遠く 山の向こうに毛むくじゃらの巨人を見た 悲しい歌を歌っていたそれはこのY字路の先 彼は随分長い間ぼんやり考えている また新しい煙草 一つの火 二つの道 煙に目を細め 新しい考え 古い価値観 今まで撃った銃弾の数 傷つけた人達 振り返ると 煙と共に消えた 彼はゼロ ナッシング どちらの道を選んでも誰も彼を責めはしない どちらの道を選んでも巨人の悲しい歌声は聞こえる