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Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

“誰も知らない生きもの”

崩れたビルの一室で 欠けたミラーボールが回る トカゲが這う ねばねばした夜 歌声に合わせて ごきげんなステップを踏む だんだん視界が紫色に染まってこないかい? 教えてあげようか うろこの下の血管を流れる クリーチャーたちを手なずける方法 代わりに教…

”跡”

狂ってしまえと 開いた掌には花びら 桃色した花びら すぐに消えて無くなった 風に溶けて 夕闇に馴染んで この傷もやがては癒え 跡も消え 明るい表情をとり繕ったりするのだろう リリリ リリリ 今日もいい天気で 街はもう狂っている そこかしらが爛れ 麻痺し …

”Karma: Α to Ω.”

笑いもしない月の上に 続く三連符は もうどうにかこうにかならぬかと 必死に足掻いている 次第にそれは北極狐の様相と化し 狂って踊る羅針盤と契りを結んだ 崇拝する無限とは言の樹の葉である 遊来する夢幻とは妙(たえ)なる調べである 思考と行動を連結する…

”琥珀に閉じ込めて”

声 50年も昔のレコードの歌声 ラジオから流れてくる今の声 どっちが寂しい? でも私は あなたのその艶っぽく低い声を 琥珀に閉じ込めて そっと ずっと 持っていたい

”欠けている”

僕に何か欠けているとしたら それは愛だ 律動だ 馬が駆ける 誰も載せていない馬 死んだ栄光や 寂しさで繋ぎ止められた伝統が 人々を覆っているけれど 僕に何か欠けているとしたら それは情けだ 情欲だ 鞭が舞う 若さは割れた硝子 泡は泡のままだというのに …

”暗い部屋で”

煙を見る 遠い友人を思い出す むやみに長かった夏 その甲冑 その下の 名付けることのできない 熱 眠気 繰り返し 繰り返し ライターの炎 消え それだけが頼りだったのに 飾られた人形 見えないものが見える 暗い部屋で 見えないものが

”メビウスの輪”

眠気と吐き気 胃から何かが逆流する 餓死を選んだ砂時計 逆立ちしたら またどこかで 赤子が泣き始める 宴会を始めた鷹たちが そんな赤子を狙っている

”動いている、生きている”

笑ってる人が憎らしい 泣いている人が憎らしい 本当は 自分の周りで 生きている存在を感じるが怖いのだろう 生きている 動いている とくとくと ぬめぬめと こっちに 伝わってきそうで にじんできそうで 怖いのだ

”よくできた嘘”

よくできた嘘ね 騙されてあげよう 私たちはそのままお買い物を続けて マネキン達に笑われてる すれ違う人達に 信号待ちの向こうの道路のカップルに くすくすと 笑われている 今の私たちからその素敵な嘘を取り除いたら 何も残らない きっと そう思うとなんだ…

”ごらんよ”

吐き出してしまえ 彼岸の向こうからやってくる言葉たち 此岸の奥の底から這い上がってくる言葉たち 現実に自分をフィットさせようとしても はみ出ちまって 収まらないよ 矮小な現実とやら 退屈と忙しさを掛け合わせて 時代と空間を混ぜ合わせて ありきたりな…

”睡蓮”

Ⅰ 言いがかりの睡蓮と 待ちくたびれた君に告ぐ 考察することの不自由 無心でいることの不自由 生まれ持った麦穂の暖かさと 冷えきった影法師 眠りにつく直前の浪費 決まり決まった散文詩 黒い布に覆われた天蓋を 意味深げに眺める君 そこに何があるのか 何も…

”川向こうの夜”

ディレイ前の 夕暮れ前の 移ろう時の余韻に誘われて またもや夜の こちらへ向かって走ってくる夜の その呼吸が 大きな川の向こうから聞こえる 身構えても 心構えても 夜には勝てない やってきては 去っていく それだけのことなのに 私はパーカーの前を閉じて…

”窓の外の血”

私の言いたいことを私は聞いた 私の悲しみを私は知った 細胞 臓器 チョコレート・ケーキ 煙草 脳みそ 電話しても通話中 メールには明日の約束 明日じゃなくて今、この時 私は回転しているというのに 嘔吐し 切り裂き 罵声 暴れているというのに 弱さの吐露は…

”碇”

碇を下ろすことなく 流れに身を任せ 時に抵抗しながら ひとところには長くはいない 君 たどり着いた岸のひとつひとつで 旅したくても旅ができないと、 自分でそう決めてしまった人々が羨望と反発の声を上げている

”夢を混ぜあって”

夢を混ぜあって 綺麗な夢 素敵な夢 残酷な夢 醜悪な夢 僕はもうなんだか疲れ果てちまって 消えてしまいたい そんな気分さ 感じなくさせておくれよ そのために 夢を見せておくれよ 君の夢 僕の夢 僕はもう君に頼ってばかりで 消えてしまいたい そんな気分さ …

”夜におちたら”

夜に落ちたら ついておいで 灯籠なんて置いて 苔むした石畳 何もかもが自分よりのっぽな気がして ぼくを引く手は誰? 夜に堕ちたら ついておいで 灯籠なんて置いて 苔むした石畳 今じゃ何もかもがぼくよりちいさい ぼくはここまでよごれてしまったよ 他人に…

”荒唐無稽なパラダイス”

戯れるような指先に 潜む哀れな慕情 0か100か 究極の選択だなんて もうたくさんよ 引っ張りだすよ いろんなところへ行こうよ そして天国で 二人して やんちゃの限り尽くして 裁きを待っているだけの人たちの驚く顔を見るのよ そこは荒唐無稽なパラダイス 青…

”恐竜の背中”

ゆっくり 続き 変わっていく ゆるやかな 大きな恐竜の背中に似たカーブ

”タブー”

網の上 この体 苦痛のグラデーション 天空に向かう矢印 『睨(にら)め、 あいつが君を作ったんだ』 望まなかった… 回らない独楽(こま) 逆さに落ちる雫 裏返しの階段 真空の卵 プレイヤーのいない双六 愛情の羅列 愛情の羅列 愛情の羅列 『憎め、 あいつが君を…

”割れた破片”

渇き 瑠璃色の大海原 飢え 遠近感を失う白樺の森 求め続け 失い続ける ある日 ”心”なるものが身体から離れた 軽くなったよ 一つ白い風船が灰色の空を昇ってゆく⋯ うん、そうかもね 目に映るものはぜんぶ嘘っぱち 風はやみ ー凪ー 鏡に映る自分を見た こんな…

”やり口 逃げ口 出口は細道”

崩す レトリック 刻んで 騙す そのトリック 不満で 濁す サディスティック 睨んで 見かねた大人が口出しをしてくる またいつものパターンさ やり口 逃げ口 出口 は細道 見慣れた規律が口出しをしてくる またいつものパターンです 私の心の中はいつも嵐

”プラスティックなまばたき”

紫色した憂鬱の剥製を窓際に飾る 君はきっと倦怠と失望のストライプのマフラーをして 口笛はボサノヴァ カラスはまっ黒になる前、虹色だった そのことを知ってか知らずか君は今、頭からつま先まで虹色 うつむいて街を歩く君はシャガールのような青い寒気の帯…

”未来を幾つか”

未来を幾つかちょうだい もう意味のなくなってしまった言葉たちを並べて 青春をくり返そう きっと素敵な日々 何にも見えない 何にも聞こえない 触れたって 崩れていくだけ そんなはかない未来が一つくらいあったっていいじゃない

”青い夜”

バスの車窓から見た夜の街はなんだか遠くって 窓ガラスに薄く映る、重なる自分の視線はぼんやり物憂げで こんな夜が十代の頃はよくあったっけな なんて思いながら 揺られていく 青い夜

”足りない”

言葉をください 言葉をください このままでは崩れるばかり 形がなくなってしまうよ 絡まった電信柱のシルエット うまくいかないことがデフォルト そんな人生です 鮮やかにきらめいたこの気持ち もう捨てるよ? 駅のゴミ箱の中は捨てられた気持ちでいっぱい …

”記念品”

硬質な嘘 なんて鮮やかな不条理 支離滅裂な花火大会 盗み乱痴気情欲暴力— 火薬のスープ 並べても 何も響かない ——何も!! 若さという実況検分 愛という大義名分 脳味噌! 脳味噌! 内臓! 内臓! —僕の! 拾って! 僕を拾って! 大破した肉体 無軌道の末路 …

"The End"

「さようなら」 悲しいけれどどこか爽やかなエンディングテーマ 「さようなら」 一つの物語が今終わった もう 誰も死なないから 誰も泣かないから 誰もいなくならないから大丈夫 「さようなら」 繰り返してしまう まだ朝なのに 出会ったばかりなのに未来はこ…

”造花の街”

笑い声 はるか上方で L字型の暖気 オペラのような 銀色ともネズミ色ともつかない その予感は この街に定常的に染み込んでいる モルタルの壁に 柱に 散水栓に 造花の街 造花の人々 でもね なまものなんかよりはずっといい

”親戚のおばさん”

間違いだよ 長生きした親戚のおばさんがいる 孤独で リスカして 気がつけばひとりぼっち 振り向けば過去 重い重い過去 もう60になってしまった 取り返しがつかなくなった だれにも心配されること無い彼女 夜な夜な眠れないと 従姉妹に電話しては 冷たくされ…

”不公平なストーリー”

ざわざわするんだ 抑え込むんだ 衝動 飲み込むんだ 錠剤 抱え込むんだ 傷跡 不公平なストーリーだった 考えてみりゃ 進行方向 右折ランプ 左折ランプ 右折ランプ 左折ランプ 急にブレーキは効かない 「この熱は一時的なものですよ」 とお医者さんは言ってた …

”それから”

言葉は形にならず 透明なまま またも同じ朝を繰り返す 届かない「想い」なんてものは クシャッと丸めて ゴミ箱へ捨てたんだ それからどうしたんだっけ ああ 夜の街を歩く 乖離してゆく皮膚と生ぬるい空気 雑踏が発する雑音 どこにもフォーカスが合わず それ…

”湾曲の夜”

湾曲した夜に 君は歌う 昨日の夜 明後日の夜 五年後の夜が ここに乗り込んでくる 『想い』なんてものが 繋いでいる ぐにゃぐにゃと 怖くってー 僕は帰った 湾曲した夜 君の歌う歌

”真実は頬に触れ”

ワン、ツー、スリーで真実、ダーリン 意味するところの 不思議 かもね なんて ワン、ツー、スリーで真実、ダーリン 意味するところの 不可解 だよね なんて 渇いた風は空を食べ尽くし 頬に優しく触れ この涙の中身はからっぽ 形だけの偽物 優しいあなたの手…

”森の奥で”

森の奥で 丸まったままの慕情 素直になれないまま 死んでいった それ以上は思い出せない あとからあとから つまらないものごとが降り積もって こんな人間になった 葉っぱの下で 小さく震えていた愛情 しばらくすると 消えてしまった 目をつぶって 耳をふさい…

”ほとんど幻”

手枷足枷を外して 海へ行こう 何もないならそれでいい 季節は僕らの気持ちを昂らせるけれど それは一瞬 ほとんどは幻 大事なことは ほとんどが幻 潮風の中に何かが聞こえる 遠い昔 この崖の当たりに住んでいた巨人達が僕を呼んでいる

”つかまえて”

つかまえて、 さわって。 この色彩と 質感と 動線と ほんのちょっぴりの心の余白が、 君の探してるもの。

”こだま”

こだまする スイッチを入れただけなのに 誕生日パーティとシダ植物 燻製作業の残り香と秋の澄んだシャボン玉 誰かが歩いてくる音で目が覚めた 朝が来たら 新しい自分 これまでの人生の複製 大切なものの粗悪な剥製

”黒揚羽森林公園”

車を停めて 私たちは森林公園にやってきた ずっとずっと歩いた 突然わきに小さな階段 かなり上まで続いている 木が生い茂っていて先は見えない 「こっち行ってみようか?」 階段を指差しあなたは言った 私は頷いた 黒揚羽が一匹 ひらひらと 目の前を 私たち…

”やさしい毒”

吸って 吐いて 生きる 高く やさしい毒 酸素にだって毒性があるらしい 愛情や憐れみにだってあるのかもしれない そのドアの裏は 見たことのない色をしていた その空の裏は 見たことのない色をしていた

”からまり”

ほどけないからまり 罪深い粘膜 関節痛 神経痛 タバコが僕を断罪する (出演者— 体(てい)の良い憲法 銅像の陪審員 ウィンクと握手 ワイン庫は空) そして 君の手が触れる X線 事情通 牛の骨のベッドの上 それだけで僕は逝く 大嫌いなカエルのぬいぐるみ 塔を…

”transfer.”

君が窓の外を見ている そのうなじの美しさを君は知らない 北の森へと向かう列車の中で 私たちはお弁当を食べ 熱いお茶を飲んだ 空気は凛と澄み 黄土色した土が内に蓄えている命をモゴモゴと主張している 鬱蒼とした木の葉はガサガサと車体を擦り 「秋にもま…

”手招き”

暗闇にぼんやりと灰色のシルエット 波のように 動く (手をこまねく) (おいでおいでと) その軌跡は チューブから出したばかりの歯磨き粉 シャッターを開いたまま撮った深夜の高速道路 (おいでおいでと) (耳をくすぐる妖しい声) 血のように冷たいエナメルの床 …

”平行線のある景色”

まだ夏の残る波打ち際で 一人立ちすくむ ビーチサンダルを履いた足の甲を冷たい海水が時々覆い そのさざ波の途切れない繰り返しの中に永遠を思う 永遠など何一つないのに そんな存在を欲している 振り返ると ヤシの木の並ぶ国道が平行線 私はもうここに 私の…

”テレビの向こう”

プレゼントの食べ過ぎは体に悪いよ つぶつぶの皮をした果実 名前は知らない だらだらと長い心理描写と 一瞬の別れの組み合わせ テレビの向こう 欲望は誰にとってもリアルだと君は言ったけれど その時僕はもう寝ていた いや、死んでいた

”終末のざわめき”

攻撃下ーーー 「我々はxxxxxxx....」 そう、時は今だ 場所はここだ 意識下ーーー コントロールできないざわめき 繰り返し繰り返し 言い聞かせる おとなしい音楽 心を落ち着けて しかし真夏の太陽の下ーーー 揺らいだ ヘッドホンを外して 人混みの中 立ちすく…

”迷気圧”

遙か上空には灰色の渦巻き あっちにふらふら、こっちにふらふら したくない事と、されたくない事は微妙に違った おぼつかない足取り 頭上には迷気圧 〜めまい〜 羽毛布団で守られてる間に 外に積もったもやもやは75cmに達し 家の玄関を塞ぐ さて、人間開きな…

”夏の切り抜き”

私を追い抜いていく老人のタフネス 隆々と自転車で 坂道を 登っていく ガードレールの上に黒い塊 あの子が耳元で囁く 「知ってた?カラスは嘴まで黒いんだよ」 ほんとだ 怖い 目を潰されたらやだな、と なぜか思う 公園を二人して一周まわった 帰り道に落ち…

”コントロール、どうですか?”

ひん曲がった気持ちをまっすぐにして コントロール はやる気持ちをグッとこらえて コントロール コントロール コントロール その繰り返し その繰り返し 溢れ出した歪さが君を傷つけて 己を傷つけて 無視して 無視されて なかったことにされた生命は なかった…

”連なる”

猫が丸くなっている 昔の夢 意味なんて必要ない、でもすばらしい旅 音色は無限 無理やりこじ開けたドア 椅子に座るモデル 念じて待つ 胸の青い傷 一瞬のためらい

”触られる怖さ”

触らないで 口にした言葉 聞き取る耳 見つめる目 地面に着いた足 動いた軌跡 互いに影響し影響され個となるのか 触らないで 今まで他人に触られたことがないから 壊れるかもしれない 崩れるかもしれない