Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

”記念品”

硬質な嘘 なんて鮮やかな不条理 支離滅裂な花火大会 盗み乱痴気情欲暴力— 火薬のスープ 並べても 何も響かない ——何も!! 若さという実況検分 愛という大義名分 脳味噌! 脳味噌! 内臓! 内臓! —僕の! 拾って! 僕を拾って! 大破した肉体 無軌道の末路 …

"The End"

「さようなら」 悲しいけれどどこか爽やかなエンディングテーマ 「さようなら」 一つの物語が今終わった もう 誰も死なないから 誰も泣かないから 誰もいなくならないから大丈夫 「さようなら」 繰り返してしまう まだ朝なのに 出会ったばかりなのに未来はこ…

”造花の街”

笑い声 はるか上方で L字型の暖気 オペラのような 銀色ともネズミ色ともつかない その予感は この街に定常的に染み込んでいる モルタルの壁に 柱に 散水栓に 造花の街 造花の人々 でもね なまものなんかよりはずっといい

”親戚のおばさん”

間違いだよ 長生きした親戚のおばさんがいる 孤独で リスカして 気がつけばひとりぼっち 振り向けば過去 重い重い過去 もう60になってしまった 取り返しがつかなくなった だれにも心配されること無い彼女 夜な夜な眠れないと 従姉妹に電話しては 冷たくされ…

”不公平なストーリー”

ざわざわするんだ 抑え込むんだ 衝動 飲み込むんだ 錠剤 抱え込むんだ 傷跡 不公平なストーリーだった 考えてみりゃ 進行方向 右折ランプ 左折ランプ 右折ランプ 左折ランプ 急にブレーキは効かない 「この熱は一時的なものですよ」 とお医者さんは言ってた …

”それから”

言葉は形にならず 透明なまま またも同じ朝を繰り返す 届かない「想い」なんてものは クシャッと丸めて ゴミ箱へ捨てたんだ それからどうしたんだっけ ああ 夜の街を歩く 乖離してゆく皮膚と生ぬるい空気 雑踏が発する雑音 どこにもフォーカスが合わず それ…

”湾曲の夜”

湾曲した夜に 君は歌う 昨日の夜 明後日の夜 五年後の夜が ここに乗り込んでくる 『想い』なんてものが 繋いでいる ぐにゃぐにゃと 怖くってー 僕は帰った 湾曲した夜 君の歌う歌

”真実は頬に触れ”

ワン、ツー、スリーで真実、ダーリン 意味するところの 不思議 かもね なんて ワン、ツー、スリーで真実、ダーリン 意味するところの 不可解 だよね なんて 渇いた風は空を食べ尽くし 頬に優しく触れ この涙の中身はからっぽ 形だけの偽物 優しいあなたの手…

”森の奥で”

森の奥で 丸まったままの慕情 素直になれないまま 死んでいった それ以上は思い出せない あとからあとから つまらないものごとが降り積もって こんな人間になった 葉っぱの下で 小さく震えていた愛情 しばらくすると 消えてしまった 目をつぶって 耳をふさい…

”ほとんど幻”

手枷足枷を外して 海へ行こう 何もないならそれでいい 季節は僕らの気持ちを昂らせるけれど それは一瞬 ほとんどは幻 大事なことは ほとんどが幻 潮風の中に何かが聞こえる 遠い昔 この崖の当たりに住んでいた巨人達が僕を呼んでいる

”つかまえて”

つかまえて、 さわって。 この色彩と 質感と 動線と ほんのちょっぴりの心の余白が、 君の探してるもの。

”こだま”

こだまする スイッチを入れただけなのに 誕生日パーティとシダ植物 燻製作業の残り香と秋の澄んだシャボン玉 誰かが歩いてくる音で目が覚めた 朝が来たら 新しい自分 これまでの人生の複製 大切なものの粗悪な剥製

”黒揚羽森林公園”

車を停めて 私たちは森林公園にやってきた ずっとずっと歩いた 突然わきに小さな階段 かなり上まで続いている 木が生い茂っていて先は見えない 「こっち行ってみようか?」 階段を指差しあなたは言った 私は頷いた 黒揚羽が一匹 ひらひらと 目の前を 私たち…