Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧

”冷たい瞳は誰のもの?”

軋み 放つ 白んだ嘘の切れ味に酔いしれな 壁は灰色 石の沈黙 弦のたわみ そのきらめき 響き 風邪ひいちゃったかな 声がザラザラ 冷たい瞳は何も語らない 何も語らない 何も見ていないのだから当然 足を投げ出し壁にもたれてかかっている置き人形 ハハ 厳しい…

”一瞬”

愛したのは一瞬で 憎んだのは一瞬で 殺したのは一瞬 息を止めて 目は開けたまま その人は頷いた こびりつく錆のような 友情に 愛情に 思いやりに 嫌気が差して 最後はエナメルの息一つ

”鐘の音”

そうね 切り離して 人生とそれ以外を 視野には入らない笑顔がたくさんあって 人混みの出す騒音にかき消された笑い声がたくさんあって 雪の下には気づかないまま通り過ぎてしまった奇跡がいくつもあって 世俗に別れを告げる鐘の音が聞こえます 軽く明るく 飄…

"あなたの名前をつぶやくたびに"

あなたの名前をつぶやくたびにぽろりとこぼれるものがある なんて素敵なことでしょう それはもう魔法みたいに 空気弾んで 風船喜んで 眠りにつく前 ほんの少しだけ小さく声に出して君の名前を呼んでみる 呼ぶって不思議 届きやしないのに どんな大声で呼んだ…

”水晶越しに”

もう許されはしないぞ 苦しみの他には もう後はないぞ 苦しみの他には 痛みの宮殿で 水晶越しに見る別世界 それは綺麗な綺麗な世界 私のいない新世界 もう戻れはしないぞ 私は罪人 生れながらの罪人

”黒いパンタグラフ”

仮面遊戯 振る舞う汎社会性 強行採決セレモニィ そして飛び散るー 光 燦々と やがて日は暮れ プラットホームで ぼーっとしたりなんかして 瞬間 嘲る この感情を 仮面たちを また取り戻して 気を取り直して 次の電車に乗ろう 冷たく黒いパンタグラフ

”光速”

閃死のフラッシュ ドットの青春が分解 悶喜のクラッシュ 急カーブで冷や汗 選択の余地 光速 同時に拘束 気づかないまま ハンドルを握る 潤滑油を刺されていたのはマシンじゃなく僕 選択の予知 しがみつくのは 親と先祖と神様と宿題 愛想笑い 致命的な癒し 有…

”Y字路に立って”

右手には煙草のにおいが染みついて 脳にはさっき吸った煙が充満している 男は立ち止まる ぼんやり考える 蒙昧とした視界 Y字路の向こう 駱駝色のコートに包まれた躰にゆっくり静電気が溜まる 遠く 山の向こうに毛むくじゃらの巨人を見た 悲しい歌を歌ってい…

”金魚鉢の中の二人”

「それ以上は聞かないで」 込められた断絶の意 言えない金魚鉢の秘密 抱えたままのあなた 今にも向こうの出窓くぐって 飛び降りそう これ以上踏み込めない もっと知りたいのに もっと聞きたいのに その紅い唇からささやき漏れた言葉 「それ以上は聞かないで…