Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

”極北のトルソー”

時間の隙間 呼吸の間隔 喪失を告げる極北のトルソー 空回ったっていいよ 見届けてあげるから 氷づけの人生 かすかな摩擦 予感 未完成な生 暗闇の中 必死に掴もうとしている 空回ったっていいよ 見届けてあげるから キスは罠 甘美な毒

”脱皮”

朝焼けが海沿いの道のアスファルトに作ったこのやせ細った影 頼りなく、危うく 冴えない色をした車たちが長い間隔をあけて車道を西へ東へ どこまでも続いているように見え いつだって引きずってるよ 昨日の続きを 去年の続きを あの日の続きを あの瞬間の続…

”ねむけ”

眠気は理路整然 目を閉じながら 陽炎 都合の良い昨日の言葉は 明日には通用しない 真夜中の境界線上 木造の船が静脈を突き進む

”ある画家の証”

記録されていた 生きた証は 白いスケッチブックに鉛筆で 定着された黒鉛の線 その線の佇まいが放つ生命力の ああ、なんともか細くも力強い放出 眩しいほどでもなく 暗くて見えないほどでもなく しかし確実に「俺はここに居たんだぞ」と 何冊にも及ぶスケッチ…

”影と陰を”

全てを満遍なく照らす必要はない 程よく影と陰を

"生まれて一番の夏"

水を蹴って 寝袋 ジャズドラム 17の 生まれて一番の夏は 天の河を見つめながら 安いビールに手を出したりして その苦さが喉に焼きつく ねえ、「おいで」って言ってよ すぐに飛んでくから 僕は君のお誘い待ちさ 白いウミネコの群れ 夏期講習の帰りのけだるい…

”白い馬と走る”

白い馬の胴を撫でた かたくも滑らかな毛 奥で筋肉や血管や心臓がうごめいている そんな気配を感じる 生きているということはこんなにも不気味で、不思議なのか 私は鞍にまたがり 小一時間、コースを走った (これはわたしがはしっているのとおなじ⋯) そう、お…

”銀河中が”

温もりを そっと ゆっくりと 熱交換でしかないのに 不思議だな 錯覚して 眠りへ落ちてく 夜がキラキラと泣いているよ 相手をしてあげて 星たちがたくさん 列を作ってあなたの話を待っている 銀河中があなたの話を待っている 銀河中が期待してる