Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

“こんぺい糖”

明日もらえるこんぺい糖に いよいよ飽きたと君は言う 殺せ殺せと踊るうち 雲形定規の音楽と 間に合わせのよな情緒も消えた 曲がる関節 歌声の屈折 床に散らばるこんぺい糖が 蟻の奴らを寄せ付けぬよな佇まいで 事の顛末を眺めている

”流れてく”

なんとでもなるの どうにでもなるの 今はまだ おとなになったらそうはいかないんだ と、あなたは言ったね 人生は決まっていくんだ って おかねやひとづきあいで生きにくくなって 苦しくなって どうにもこうにもならなくなるんだって うつむいて お酒で流して…

”顆粒のむなしさ”

媚びのマチエール 叫びのホワイトノイズ 明日の日記を 今日書く まぶたの裏 名画 誰も知らない 閉じて 触られたくない 隠れて 見られたくない 磨き抜かれたプチ・ケーキ 歪められた真鍮の街並み 嘘つきばかりのネオンサイン 裁判官の背中…君 そこに顆粒のむ…

“散る”

窓から眺めた 夜の空 指ではじくと 無数のビー玉になって 散った

”魔法は君を殺す”

ねじれた明日と 鮮やかな昨日 とぼとぼ歩いて 口笛は魔法 ぐらぐら笑って 微笑みが人を殺す

“ダイオードがぼんやり”

ぼんやりと 通じ合えない ぼんやりと わかり合えない ダイオードが消えた 昼間 とんでもなく熱い 眩しい光 その一瞬 夢見たけれど 目を開けていられないから ぼんやりと やはり夢見たまま

”夜は海の底”

口からぽかりと泡が出て 上空へ登ってゆく 隣を歩く友人が話す度に その口からも 行き当たりばったりで設置された照明が、酒と歓声と散り散りの方向に歩く人々とを混ぜあわせる 深夜の街は 深い海の底 僕の躰の周りには いつもよりも高い圧がかかっていて 僕…

“Natalie/Natalia”

あなたは獣のような目で 私を睨んだ 先週末の土曜の夕方 紅茶を入れていたマグカップは 床に落ち 割れた 雨が降っている そんな音もしていた 二人の間の緊張感はピークに達し 私は今にも泣き出しそう ポケットの中で小鳥が死んでいる 1999年の7月 予言通り…

”リズム”

生きているというリズムは 骨の軋みか 心臓の鼓動か 口にした言葉の凹凸(おうとつ)か 右足、左足の、その歩みか キーボードを打つその指か 滴る血も、 こぼれる涙も 刻む、 アップ、 ダウン、 揺れる、 上に、 下に、 上に 軋み、 囁き、 つぶやき、 摩擦、 …

”夢と爪”

爪をかむ こぼれた液体はクリアー・パープルの 人生と涙の不純物 眠りに落ちようとするその時 重力から解放され 法則を無視し 余計なセレモニーをスキップした私は 夕焼けや 争いや 小さな猫や 細々とした殺人を作り出した そんな夢を作り出した

”天気予報”

石膏の笑顔 炭酸入りの会話 約束は一週間分の天気予報と同じ その先はわからない わかりたくない ブレーキの効きが悪い自動車で ほら、あの岬へ行こう チョコミントのアイス、 今週のヒットチャート、 どこへ行っても何も変わらない ごめんね、 私は炭酸が切…

”おやすみ”

おやすみ 消えた思慕に おやすみ 枯れた花に おやすみ 生まれたばかりの命に おやすみ 明日の朝がいつもと同じように来るように そんな祈りが通じますように おやすみ

”絶対零度の砂漠を進む”

八つこぶラクダの背中に乗って 気分はアラビアのロレンス もう千年もこの調子 干からびたガイコツの案内役が カタカタ鼻歌うたってる 僕ももはや右手と左足が骨と化し 旅の目的忘れてる (…そうだ、君ん家に行きたかったんだ。それがどうしてこんなことに…) …

“この内臓は売り物じゃない”

できるだけはやく 探して 壊せ それを 繰り返せ やめてはいけない やめては 元に戻ってしまったら あの暗いお祭りがまたやってきてしまうよ それでもいいのなら 変化の無い日々に身を浸しているがいい それは魂を蝕む毒 内臓の周りについた脂肪 あれに似てな…

”誰もいないダンスフロアに”

誰もいなくなったダンスフロアに とり残されたことがあるかい? パーティの名残りは煙と汗と酒のにおい それはエナメルのフロアに反射して… 下りたシャッターの向こうに とり残されたことがあるかい? たくさんのマネキンが過ぎ去った過去の栄光を自慢して …

“すれちがう”

なんて軽率で軽薄な疎通 その気になって 錯覚して 得るものとは一体何か 服を着て 紅茶を淹れて 煙草を吸って 外へ出て 僕らはすれちがう なんて心地の良い感覚だろう 生きている間中、 僕らはすれちがう

“不自由なハイウェイ”

何処へ行こうか 何をしようか と、あなたは言った 何処へも行きたくない 何もしたくないと 私は言った いつの間にか日付が変わっている 車窓から見える景色は 誕生パーティのように暗くって 淹れたてのコーヒーのように硬くって だから、 車内に溜まった煙草…

”嘘7000”

僕たちは街の煙突という煙突を塞ぐ 腐臭いっぱいの生ゴミを食べ おまわりさんに犯罪をさせ すれ違う人皆の死に顔を想像し、スケッチする (彼女は一度だけ僕の前で泣いた。僕は騙されたのかもしれない。僕も泣いた。彼女を騙し返したのかもしれない…) 三日…

“please let me introduce myself”

泡の向こうで 消えていった花たち でもあれは造花だったし むしろいい気分 どうだろう そうでしょう? 意識の端っこの端っこなんて、見つめられないから じっと見つめていると気が狂ってしまうから あなたとこんな遊びをしているのよ くだらない遊び 重なる…