Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

”ターミナル”

終着駅 空洞 躰 無数の風穴 ネットワーク 老朽化 まばたき 三つ ためいき 一つ ——後悔?—— やはり理解不能 けれど理解可能 地平線はキリトリ線 宴を抜け出し 善意を質に入れる それが条件 ミサイルは眠っている 鳥 遠くに鳥 南国の砂浜を駆ける そんな夢 夢…

まだにおいがする

予約されていた場所 エスコートしてくれる親切な人 うまく話せるだろうか 席について 周りを見渡す 触れられるのが怖くなっている だんだん 近づかれるのが怖くなっている どんどん くだらないことをくだらないまま つまらないことをつまらないまま 話してち…

”旅景”

明るい風に 誘って揺れる 香る指先 刃はこぼれ 岬で声は聞こえない 黄色い薄布 ひるがえる

“強情な足跡”  

半透明の身体を引きずって いまだ自分の名前を思い出せないまま 蒼い天蓋の下 黒い海の浜辺を歩く 欠けた貝殻はいにしえの若者の青春 座礁したボートから聞こえる調子外れの舟歌が 愛情も憎しみも 何も区別がつかなかったあの頃へと戻らせようとする 足跡を…

”入れ替わる”

昼と夜が入れ替わって、吸血鬼みたいな僕 善と悪が入れ替わって、犯罪者みたいな僕 (ほんとに??) 君と僕が入れ替わったら それは新しい人生だろうか

”一周したら会いましょう”

逆らって トゲ 剃刀(カミソリ) まばたき こぼれるビー玉 戦い続けた君の歴史 その疲れか 消えたノートの落書き そんな友人への 問いかけか 大多数の電波 少数は沈黙 あやとりの必須 黒こげの焦燥 真珠の怒り モダンなあきらめ 一周したら また 君を包む悪夢

”涙の形をしているね”

その宝石をください 涙の形をしているね このおとぎ話に 理由なんてものはいらないんだよ このイカした冒険と とりあえずの敵と 私の秘密のペンと 君の余白とがあれば

”最後の魔法”

ほーら 魔法を解いてあげる 根深い魔法 無自覚な魔法 何もかも自分の都合のいいように受け取るあなたの 心にかかった 最後の魔法 手の内は全て明かされ 万策はもはや尽きたんだよ 逃げるのはやめて 許さない もう魔法は解けたのよ 何の説得力もないあなたの …

”救い”

救いの手 神様の手 愛されることを知らず 求められることを知らず 祝福の手 望まれて生まれてこなかった子供たち その行進 万雷の拍手 彼らが向かうのは シダ植物の繁る灼熱の塹壕 吹雪で自分の指先さえ見えない極寒の砲台 愛されることを知らず 求められる…

”君を作ったのは”

君は問題があったらしく 改良されたそうだ 幼い頃のとある日 そして昨日 (知らなかったろう?) こぼれたワイン 自信ありげな入道雲 ぎこちない笑み 沸騰したお湯の泡 …目に見える美しいものは すべて方便 ああ、呆れた! かたっぱしからギャグにして 僕たちは…

“信天翁”  

重くなった体を引きずって 砂漠を行く あの地平線はまやかしだ あの蜃気楼はまぼろしだ 灼熱の箱庭 私をコントロールしているのは誰? 死ぬまでにそいつの顔を一度は拝むことができるだろうか やることは決まっている できることは決まっている 鍾乳石がしず…

”ロックンロール・レディオアクティヴ”

荒野の風とメジャーコード 今夜はうわついたリフレインでスタート テンション上げて! ちゃんとボリュームは最高? 「ひでぇ、こりゃ大破だ!」 無礼講すらbreak all あの娘のプラスティックなまばたきにムラムラ来たなら それは正解 来たれ融解! 無駄に早…

”色彩は夜淡く”

サァサァと 窓の外から 静かな雨の音 夜深くまで 猫背の青年は部屋の真ん中で雑誌を広げている ステレオからシンセサイザーの滑らかで物憂げな響きが空間を浸す 彼は片思いのクラスメートにメールしたが 返事が返ってくる気配がないのでもう寝ることにした …

”栞”

左胸の傷がチクチクとする こんな痛みさえ漫画のヒロインみたいで嫌になる 鮮やかなフィナーレ 今ここに捕らえよう 気持ちをここに 最終章 蒔いた種は実を結ぶだろうか? いつか⋯ ーしおりのようにページに挟まれる涙ー

”あなたとはなれて”

ふわふわとゆらいだら くらくらとめまいがしたよ つらつらと書きつづっては うろうろとさまよっているよ ふらふらと歩きだして ぽろぽろと涙が落ちた ゆらゆらとにらみ返すと もろもろとはがれ落ちたメッキ

”助手席の裸体”

明るい 暗い 明るい 暗い 電気のスイッチをぱちぱち 泣く 笑う 泣く 笑う 気持ちのスイッチをぱちぱち どちらも感じることができる ドライブする車の中で 私は泣いたり笑ったり 明るくなったり暗くなったり ああ、神様! もしそんな存在がいるのなら 今この…

”挨拶はなし”

私の、 やぶれかぶれな言い草に 愛想が尽きたとあなたは言った 形のない切り絵 棚いっぱいの石鹸 動かない私 紅茶の出涸らし 燃やしてしまおう! 全部 そうして、私の小綺麗な部屋は消える 私の小さな人生は消える あなたの歴史から 皆の記憶から 動機は十分…

“ひと夏ぶんのコーンフレーク”    

ガレージには段ボール一杯の ひと夏ぶんのコーンフレーク 夏バテの僕 火をつける ママが起きた 美人なママがほしい コーンフレークにミルクをかけて食べる たまった炎が ふやけたコーンフレークから立ちのぼる ふやけ ふやけて 僕まで ママまで 部屋まで 家…

“小さな旅”  

今日はやけに気だるいから途中の駅で降りて小さな旅をした イヤホン外して 電波は圏外 帰り道 毒を盛ったんだ いつもの夕暮れのはずが もうくだを巻く 夢の中 今日はこのくらいにして 明日はまた新しい明日かしら なんてぐるぐるとぬるぬると 彷徨って這いず…

”無言の花”

しゃべらなくて良いのなら 雄弁の花について語ろう 拡声器で無音の花を咲かそう 誰かが主張している 何かを主張している しゃべらなくて良いのなら 寡黙の花について語ろう

”霧散”

本当に透明なものをつかまえたら その瞬間、霧散してしまうよ 見ようとしている時じゃなく 見ているとき 触ろうとしている時じゃなく 触っているとき 行動しようとしている時じゃなく 行動しているとき 友情や愛情や夢や希望と名付けたあたりまえな解釈は も…

”かたち”

ゆっくりと 形をとらえる さわれたら もっとはっきり わかるのに

”キャッチフレーズをつけて”

死んじまいたいって何? 信じちゃいないって何? あの娘が向こうの道路からやってくる もう何年も 自分の血を見ていない こうして このまま老いていくのか? 夢、青春、欲望、恋愛エトセトラ ありきたりで 嫌んなっちゃう どうか僕に 新しい、洒落たキャッチ…

”うわっつら”

つながらない言葉は 小さな薄緑色の部屋で人知れず泣いている若者の上気した頬 歪んだ表面は 現れるとほぼ同時に消えていったように見える彼への愛情 羅列された言葉は 心臓を直につかむその手 自分のことをわかってくれなかった寂しさと うわっつらだけの笑…

"愛半々"

Cut 1/2 rendezvous.

”ピース”

変わる わかる 分解され 組み立てられ ブロックのように かたく 冷たい 分解されるたびに 組み立てられるたびに 失うものがある けれどかまっていられない 変わる わかる 今日何かを失くした 新しい僕は 失くしたピースなしに 完成する 僕なんだ

”葬列”

情けの処刑に 君はー 雨が降っている そしてー どこにも続かない 列をなす 罪のー 『可哀想』? 『痛む』? 『悼む』? —いいえ 列をなす そうやって途切れる 繋がらない雨

”フィクション 17”

ネイヴィー・ブルーの制服 喧騒は高域を強調 髪の色が違うってだけでアウトロー気取り つじつまなんて知るもんか! なんて風に おしゃべりおしゃべり 生徒はフラフラと徘徊し、 先生はバタバタと倒れ、 恋はそこかしこで勃発した 音楽室が蒸発! 理科室が分…

”黒い洋酒の瞳”

あなたは 物語を反対から読む 大人から子供に戻る 友情があなたを苦しめ、 つじつまを合わせる作業がその神経をぼろぼろにした 眼の下を黒く塗って、 裸になって、 家系図を燃やしていたね ルールに従えと 低い声で私に囁く 鉄条網 水槽の中の不気味な生き物…

“月は愛する 夏の夢”  

月は愛する 夏の夢を 恋人達の砂浜を 駆け引きの波打ち際を 五年前のことなのか 五百年前のことなのか 判別できないような夢 頬に何かが触れる それは静かな夜の歌 騒がしい街の子供達さえ この海では天使のように眠る 月の愛する全て 名もなき鳥 頼りないす…