Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

“月は愛する 夏の夢”  

月は愛する

夏の夢を

恋人達の砂浜を

駆け引きの波打ち際を

五年前のことなのか

五百年前のことなのか

判別できないような夢

 

頬に何かが触れる

それは静かな夜の歌

騒がしい街の子供達さえ

この海では天使のように眠る

 

月の愛する全て

名もなき鳥

頼りないすじ雲

まばらな灌木

乾いた海藻

無数の石ころ

砂粒の息吹

その一つ一つが

月の見た夏の夢