Death & Honey

死と蜜、儚く甘く気だるい魔法

”transfer.”

君が窓の外を見ている

そのうなじの美しさを君は知らない

北の森へと向かう列車の中で

私たちはお弁当を食べ

熱いお茶を飲んだ

 

空気は凛と澄み

黄土色した土が内に蓄えている命をモゴモゴと主張している

鬱蒼とした木の葉はガサガサと車体を擦り

「秋にもまた来てみたいね」

なんてことを君に話しかけたけれど

返事はなかった

 

それでもいい

そんな瞬間

入れ物の中の私たち

 

運ばれてゆく

運ばれてゆく