”黒揚羽森林公園”
車を停めて
私たちは森林公園にやってきた
ずっとずっと歩いた
突然わきに小さな階段
かなり上まで続いている
木が生い茂っていて先は見えない
「こっち行ってみようか?」
階段を指差しあなたは言った
私は頷いた
黒揚羽が一匹
ひらひらと
目の前を
私たちを案内するように
やがて小さな見晴らしの良い高台の公園に出た
「いい眺めだなあ」
あなたは言った
私は景色もそこそこに黒揚羽を目で追っていた
その先にはまだ階段だ
私たちは登った
スニーカーでくればよかったなあ
隣を歩く彼を見て羨む
草や土や虫が気になる
このまま進んでいくと何があるのだろう
またも階段の先は見えない
空気がひんやりしてきた
鼻先で青い匂いを感じる
どこまでいくのだろう
このまま
このまま
黒揚羽に誘われて