”かりそめの恋心”
さようなら!かりそめの恋心よ!
僕は崖から飛び降りるだろう
そんな夢を見るだろう
泡のような夢を見るだろう
くだらない夢を見るだろう
少ない言葉と
少ない色と
少ない線だけの
額に入った
君を好きになった
泡のように消えるだろう
崖から飛び降りるだろう
嫉妬で身をよじらせながら
炭酸みたいに砕け散るのだろう
散り散りになるのだろう
無意味な思慕に魂を捧げた
嗚呼哀れな青春よ
哀れな思慕よ
ガラス窓のように馬鹿げていて
消火栓のように愛おしい
灯台のようにおかしくって
黒い、大きなピアノのように図々しい
誰が馬鹿にできようか
(馬鹿にできるのは僕だけだ)
さようなら!かりそめの恋心よ!
”冷たい瞳は誰のもの?”
軋み
放つ
白んだ嘘の切れ味に酔いしれな
壁は灰色
石の沈黙
弦のたわみ
そのきらめき
響き
風邪ひいちゃったかな
声がザラザラ
冷たい瞳は何も語らない
何も語らない
何も見ていないのだから当然
足を投げ出し壁にもたれてかかっている置き人形
ハハ
厳しいね
悪態の一つでも吐けば? スーパーマンさん
"あなたの名前をつぶやくたびに"
あなたの名前をつぶやくたびにぽろりとこぼれるものがある
なんて素敵なことでしょう
それはもう魔法みたいに
空気弾んで
風船喜んで
眠りにつく前
ほんの少しだけ小さく声に出して君の名前を呼んでみる
呼ぶって不思議
届きやしないのに
どんな大声で呼んだって叫んだって
きっと
届きやしないのに
でも呼んでみると、少し素敵で
少し幸せになる
あなたの名前をつぶやくたびにぽろりとこぼれるものがある
それは魔法
それは呪文
人生のかたちを変えていく甘い甘い呪い
誰にも言わないから、この秘密だけはどうか許してよ、神様