"その蒼をくりぬいて"
偶然も必然もあったもんじゃない
帰路の髑髏
自然 森羅万象 囲まれて 知覚できるだけ知覚してみたら
溢れてしまった
ネイヴィな夕焼けのロングコートを着た人骨模型
左胸あたりに夕日だけがくりぬいてある
金色のいびつな円
眩しくて
夕焼け
その色気
魔法なんてつまらないな
呪いなんてつまらないな
私も左胸をくりぬいて、夕日の光を穴越しに通した
また別の影ができる
この連鎖が思いのほか身軽にさせてくれない
やがて蒼い夜が来て
揺らぎがちな想いは
その蒼に染み込んで消えた
”こんなに早送りしているのに”
真夏の太陽
こんなに早送りしているのに
秋はまだ来ない
ふと
リモコンから手が離れ僕の体は宙に浮く
このまま
全てを遺して去っていこう
そう考えると
少し、
涼しい