2016-05-18 ”鐘” 詩 同じ形で繰り返す弦の響きが 撫でるように押し寄せる 自分を鼓舞したって せいぜい私にできるのは愛想笑いの余裕だけ 宝石の持つ醜さ 世間擦れしてゆく自分に嫌気が差す 眠気と共に押し寄せる死 鎮まらない怒り 静まらない騒音 目覚めと共に立ち上がる殺意 肥溜めの中で息を止める競争 鐘が鳴った ドアを開けて カビを剥ぎ取る それだけのこと 今夜貴方を殺すかもしれない 私の人生が転落するきっかけだったとしても 美しい弦の調べが二度と聞けなくなったとしても それだけのこと